第一期工事
街の“腕利き?”チューニング屋さんにお願いするのか、馴染みのディーラーで無理を頼むか、簡単に答えが出そうで、それが出ない!、タイプRの正統派メンテナンス。勿論、正統派と名が付くからにはホンダディーラーがイメージではあるが、経験ある方はご存知だろうが、答えは「簡単では」無いのだ!。
そも、そも、ディーラーは「新車販売」が本業だ、販売車両の整備や車検が主目的の「サービス工場」。それ以外の事に積極的に関わり合いたくないのが事実である。その関係を履き違えてユーザー達がアレ、コレ、期待を抱くのはやはり無理がある。結果、「餅は餅屋」その種の作業実例が豊富な私達に。
タイプRオーナー達の悩みも同様、愛着を持って永年愛用を続けるには、将来もディーラーのサーヴィスピットでの作業範囲に満足するのか、それとも、腕自慢?、レース自慢の派手なチューニング屋さんに身を委ねるのか、帯に長し、襷に短し、消化不良で悩ましい判別不能の謎が大きく「立ちはだかる」。
「辛口チューニング」でもない、「単なる整備」でもない、正統派「リフレッシュリファイン」プランの永年作業実例を豊富に持っているホンダ専門業者はどれだけ現存するのか、パソコン画面とにらめっこの日々を繰り返しても「本当の答え」は出てこない筈だ。そこで迷わず私達の「門」を叩いて欲しい。
第一期工事を計画と実行で紹介したI氏のプランはひとつの「参考」になる。TypeRの潜在性能を存分に味わう目的から「正統派」で潔い、まず、オーダーがあったのは「吸/排気トータル」リファインチューニングモーターライフシステムズのオリジナル仕様で専用「ハンドメイド」製作。サウンドも好ましい大人仕上げ。
詳しいリポートは本文を読んで頂きたい。オリジナル仕上げの高効率「吸気スロットル」から特別設計のエグゾーストシステムまで、構成はシンプルだが、車両「個体差」を見極めた性能特性は見せかけだけの「派手さを嫌い」TypeRと言えども量産管理の都合「妥協案」になる部位を目覚めさせるプランだった。
作業計画はオーナードライバー自身が組み立てる。私達が余計な口を挟むことは無い。車両持込希望日も相談で決めている。そして不思議な事にその約束日の時間には「遅れず」ピッタリOSAKAまでやって来てくれる。まして「気遣い満点!」なのは恐れ入る。第一期工事でも「けっこうな物」を頂いてしまった。
談義もそこそこにホンダに乗り込み、オーナードライバー自身がハンドルを取り試走に出る。勿論、横に私達も同乗して「完成具合」を指差し確認で味わう!。百の説明より、一度の試乗。乾いたサウンドがビルの谷間に反響し、右足に「チカラ」が入る。第一期工事を終え地元、浜松にステアリングを向けた・・。
第二期工事
年が変わり、暫くした頃、オーナードライバーから電話が入った。第二期工事の依頼だった・・。エンジンルーム内に特製/専用タワーバーの製作、フロント両フェンダー内部へ特製/専用補強ブレースの製作、リア下部特製/専用補強ブレースの製作、エグゾースト追加メニュー、エンジンルーム内フレッシュエアー
導入インテークダクト専用/製作、MLSチューニングスロットル専用/製作スムージングワイヤー製作、他スリット入りデイスクローター、オリジナル仕様ブレーキパッド、非膨張タイプブレーキホース等、この車両個体差に何れも忠実に「単品製作」。勿論、外観はノーマル然、純正然の全く目立たぬフォルムで行く。
毎回新たに計画、実行するプランは期待に胸躍る。浜松から入った電話でオーナードライバー自身とそんな「やり取り」を済ませた数週間後の週末の午後には「ナイトホークブラックパール」に輝く彼のEP3は約束の時間に寸分狂う事無く、OSAKA市内にあるモーターライフオフィス前に静かに横付けされた。
「リピーター」でモーターライフへ次なる作業を求めて相談するオーナードライバー達は決して少なく無い。そんな事から、2度目、3度目と回を重ねる事に愛車の完成度はより「高まり」、加えて、オーナーとの「気心」もより理解出来合い、まるでお互いホンダ「趣味生活」同好会の様なフレンドリーな関係である。
彼らはどうしてMLSのオリジナルブレーキパッドを装着したくなるのか・・。疑問をお持ちの諸兄も居るだろう。つまり、市販の「高性能?」とされるパッドと何が違うのか。それは実に簡単な答えで理解出来る、私達が大切にしているソレ、『個体差別』専用仕様に「オンリーワン」仕上げでマッチさせているポイント。
で、ついでに「話しておくと・・」、1台づつ車両状態別に「専用仕上げ」をするのはパッドとコンビになる専用スリット入りディスクローターも「個体差別/製作」それに非膨張ブレーキライン、これも市販品でなく試作→実走TEST→改善/修正→最終組み込み製品へと、「コンビネーション」良く別注開発するのだ。
 
 上のフォトはリアブレーキ用専用開発のオリジナルパッド。話を元に戻すと、ブレーキホースなどはタイプRの場合、一部、市販品も発売されている。勿論、ソレを取り寄せ、純正品とポン替えすれば手間がなく簡単である。それを「やらない」のは、1台ごとの車両個体差に合わせ「採寸」専用制作する事が『精度高く』仕上げる事が出来るからだ。「急がば回れ」と言う事かもしれない。
 
 モーターライフシステムズのチューニング内容は全て「個体差別」オリジナル制作、1台、1台、丹念に「個別制作」を実行して行きます。つまり、その車両用に専用制作する事で市販品では実現出来ないフィールを確実に獲得出来る手法です。ここでは実際に「実走を重ね」ながら必要とされる『剛性強化』、ボディー補強作業をリポート。キレが良くないとお感じの貴殿のホンダ改良の参考になれば。
 
 インナーフェンダー内部に補強材を設置。勿論、これはキットなどではなく、一本、一本、素材から加工を施し、組み立てて行く。順序としてはまず仮組、固定をして「実走」TESTに出る、様々な条件で試走を行い、ハンドリングを含め『フィール』を確認!、その同じ工程でバージョンの異なる「試作を仮組」再び試走を重ね、その車両が持つ個体差にマッチした「本採用」のインナーブレイスを専用制作する。
 
 足元の「操作性」向上を考慮、インテグラTypeR用のペダルを組み込んだ。一見「判別」しやすいステアリングや、派手な空力パーツは子供っぽさが出て趣味では無い、スーツの裏地に贅沢をする大人のオシャレ同様、地味で目立たない箇所ほど細やかに神経を配る。「お判り」だろう。
 
 リフトの上では右側/フロントフェンダーが取り外され、右フェンダー内の空白スペースを採寸、フロント回りの剛性を向上させながら、重量増にならない工夫を加え補強ブレースをレイアウトする。つまり、これは「左右対象」ではなく、それぞれの「事情」に上手くマッチさせ制作するのだ。
 
もう少し「近づいて」右側/フロントフエンダー内を見てみる。これから組み入れる補強用ブレースを自在にレイアウトする程の余裕があまり無い事に気づく。余談だが、幅広な市販スポーツホイールに交換されていないのは「さりげなく・・」純正ノーマル風を装う目的であるのは言うまでもない。
 
 お判りだろうか・・。左右の造形は「微細」に異なる事が、同じTypeRでも個体差別の設計/制作は車両ごとのコンディションにマッチさせる大切な手法だが、同一車両であっても「実走」と「採寸」そして「試作」を経て『効果的』に「非対象制作」で仕上げる。
 
 「視点」をエンジンルームに移してほしい。応力が最もかかる位置関係にジャストサイズ「完全非調整式」補強ブレースも見えている。リポートのとうり、両フェンダー内に加え、誤差ゼロ、ゼロ、設計で制作されたエンジンルーム内の根本的強度UPは今後「少々問題を招く・・」結果となる。
 
 「コレだ!」。お判りになるだろうか・・。黒く見えるグラスエリアの中程、センターに斜めに走る細い「線」がある。先でも説明したが、個体差別「補強」なので、仮組してはTEST走行に出る。そしてその走行フィールから「修正/改良」を繰り返し、本採用のソレを目指すのだが、『ビシッ!』だ。
 
 更に「接写」したが、「ライン」が見える筈だ。テスト走行中はクルマの「挙動」や「レスポンス」、「剛性フィール」に集中していたので気付かなかった。工房に戻り、走行TEST完了後の「点検時」発見した。『過ぎたるは猶及ばざるが如し』と、一言で言い切ってしまう程「単純な現象」ではない。
 
 フロントウインドーの外側にホワイトカラーのシートを設置、乱反射して判別しにくい「亀裂」を解り易く捉えた。ソレは「想像以上」に大きい事に気づくだろう・・。簡単に言葉で「補強」と言っても、こんなアクシデントも乗り越える「一進一退」作業現場の「開発/製作」過程でもある。Fウィンドーを「交換」、対策を加え「再チャレンジ」だ。
 
 新たな「前進」に向け、根気よく「やり直し」である。弱い箇所に「負荷がかかる」特性を更に考慮しながらも、フロント回りの「剛性保持」に追及を緩める妥協はない。全て「アナログ」作業だ、改良したブレイスを制作、それを全行程「手作業」で地道に積み重ねてゆく。だから、どんなに急いでも『三歩進んで、五歩下がる』事もある。
 
 「同時進行」でリア下部にも試作の補強ブレイスを「仮・組み込み」する。テストの実走行でフロント回りとバランスを慎重に確認し修正作業を繰り返し、その時間と「手間暇」を惜む事なく進む。
 
 真下から「見てみる」。写真下がフロント側、上方向がリアだ。
 
 エンジンルーム内は「OTONA仕様」で目立たない仕上げだ。
 
今までの初期タイプから 「強度とシナリ」を仕様変更して最終/採用バージョンを組み込む。
 
 そしてフロント左、最適強度に再製作。牛歩の様な地道な「専用/開発」を根気よく続ける。
 
 マスターシリンダーストッパー「オリジナル制作」。KITとして量産/開発するのではなく、この車両用に「個体差別」専用制作である。フォトでは既に仮組込してあるが「解りにくい」筈である。市販キットの様に『付けてますよ!』と、認識出来るのを嫌い、さりげなく「判別出来にくい」努力をした。角度を変えお見せするが、「解らないだろう・・」。オトナのチューニングは目立たないのが基本。
 
 反対側から組み込んだ オリジナル制作の「マスターシリンダーストッパー」を見る、見えない筈。
 
 最初の位置に戻り「目線を上げる」、「マスターシリンダーストッパー」の一部が見えただろうか。
 
MLSビッグスロットルプレミアム仕様を更にオリジナル改良を加え、それをもう一歩「性能進化」させる手段として、抵抗率『ZERO、ZERO』のMLS特製オリジナルアクセルワイヤー(スムージングスロットルケーブル)を試作で「特別制作」した。
 
 シルバーのメッシュホースに見えるのがソレだ。KITにして売り出そうなどとは考えていないのでご期待?には答えられない。オーナードライバーのリクエストからこの車両だけに「開発」した。
 
 そして更に「もう一つ」、ウルトラスムーズに作動し最良のレスポンスで混合気をシリンダー内へいっきに送り込む「MLSビッグスロットルプレミアム」に新鮮なフレッシュエアーを充填する「インテークダクト」を出来るだけ目立たない様工夫を重ね、「特別制作」した。中央で反射するソレだ。
 
 角度を変えて見ると「判別出来る」。中央にスクエアーなエアー導入口が判る、ほんの僅かなスペースを無駄なく有効に活用した実例だ。市販のキットなどでは出来ない相談である、そして機能を極限まで際立たせながら、エアースクープの存在を「隠す!」OTONAの配慮が「キメテ」だ。
 
 「MLSビッグスロットルプレミアム」に抵抗率『ZERO、ZERO』のMLS特製オリジナルアクセルワイヤー(スムージングスロットルケーブル)を試作で「特別制作」したソレを「セットアップ」した状態のフォトを見たいとのリクエストに応え「掲載」。(市販予定はありません)
 
 純正然と「さりげなく・・」ホンダ車を「大人の渋いチューニング」計画で進めるならば、安易に市販ホイールに手は出せない。血の気が多い「サーキット通い」の連中と同列?にされるからだ。だが、しかし、タイプR専用ホイールの向こうにMLSマークの専用/特製ブレーキパッドやスリットを刻んだ専用/特製ローター達までは「隠せない」。
 
 静岡県から第二期工事も自走で車両を持ち込んでいる。それはトラブルがあったり、故障修理を急ぐ目的などでは無い。「転ばぬ先の杖」、そう言う事だ!。「馴染んだホンダ」にこれからも永年乗り続ける「計画と実行」である。目先の「補修/修理」にジタバタしていたのでは良い結果も出ない、そして何より「かっこう悪い」ではないか。
 
 二期工事を完了しても全く「ノーマル然」の大人仕様、コクピットに陣取り、このホンダを操らない限り本当の「正体」は掴めない。『羊→狼』な、こんなダンディー仕上げは「如何だろうか・・」。
 
 そんな話はともかく、作業の進捗状況も催促なしで待っているオーナードライバーに連絡だ。勿論、その前に充分な時間を割いてプラン完成車両を公道で実走TESTを繰り返す。気に入らないポイントが見つかれば、タップリの時間をかけイメージするホンダに懲りずに「探り続ける」のだ。
 
 あ〜ぁ、何だ、又ソレかぁ〜。などと思っている閲覧者の方もいるかも知れない。言っておくが、完成車両を受け取りに行くのに「手土産?」が必要などと言うルールは昔から無い。だから個人的に日本人的「繋がり・・」のひとつ、「ご縁・・」の表現である。でも、しかし、全国、各地のホンダオーナー達は「選りすぐり」の地元産特品を持ち込んでくれる。だから、何時も遠慮なくご馳走になる。
 
 心遣いの「お土産」有難うございました。そんな話をしている間に、行動派のオーナードライバーは新幹線に飛び乗り、約束の日時には正確にモーターライフ市内オフィスに笑顔で到着した。
 
 経験ある方は解るだろうが、「久しぶり」の愛車との対面?は緊張を伴い、戸惑うものだ。ソワ、ソワ、乗り込んだら、シートポジションを確定、ステアリング位置もアジャスト、次にルームミラーだ。最後はドアーミラーをリモコンで微調整。もう、この辺で薄ら汗も滲んでくる。二つ↑のフォト、左/下を斜めに見ているのは、シフトポジションを再確認しているのだ。サァ〜、シートベルトだ。
 
 久しぶりに怖々?戻す、クラッチペタルは「ミートポイント」を探るのに余計な「チカラ」が入る。右/後方を確認!、滑らかにスロットルペタルを「スライド」させる。もう、ココでMLS特製オリジナルアクセルワイヤー(スムージングスロットルケーブル)の効果を「確認出来る」。サァ〜、気持ち良く空いた市内の心地良いルートをオーナードライバー自らのドライヴで実走TESTへ繰り出そう。
 
 「乗り慣れた」愛車をドライヴするのは格別だ。「MLSビッグスロットルプレミアム」と「スムージングスロットルケーブル」を組み込んだソレはまるで『エンジンに手が入った』如くパワーユニットが抜群のレスポンスで反応する。コーナー手前で「軽くブレーキング」、完全オリジナル仕立てのブレーキバッド、同様のローター、非膨張ライン、シリンダーストッパーが「連動/連携」し制動に入る。
 
 全て、オーナードライバーがステアリングを握り、私達もその横に同乗、そう、まるで国際ラリーでの「スペシャルステージ」の如く、そのアタックシーンの様に、高層ビル群の立ち並ぶ「走り易い、空いた」ルートを選び、夢中で「熱中走行」をリズミカルに重ねたが、少し「休憩する事に・・」。
 
 「高鳴る心・・」を鎮めるコーヒーブレイクは格別。何時も連絡を取り合う仲でなくとも、二期工事ともなれば「気心」も知れ、試走中も冗談でコクピットは「和やか」ムード。私達が昔から、その「時間を割き」オーナードライバーの自らのドライヴでステアリングを握り、それへの同乗「確認走行」を欠かさないのは、クルマのコンディションだけでなく、人間どうしの「理解」をより深める為だ。
 
 「ご覧のとうり」、休日のオフィス街は良く空いていてルートを選べばまるで「ミニサーキット」。「クルマ」も「心も」、丁度「程よく」温まり、リズム良くなってきた。この機会にもう、一回りしょう・・。
 
 熱中したオーナードライバーとの「実走確認」も切り上げ、静岡に帰る時間。話し込んでいては時間がいくらあっても終わらない。片手を上げ再会は第三期工事でね!、っと冗談交じりで帰路に就いた・・。
 第三期工事
 
 エッ!・・早速、 第三期工事に突入?。・・そうでは無い、イヤ、「結果」そうではあるが、勿論、地元に持ち帰り、充分以上に 第二期工事の完成状態を日常堪能した結果である。したがって、ある程度の月日は経過し、その間、連絡も取り合ってはいなかった。それが「普通だ・・」。
 ■火災被害の影響でこの先紹介する予定の貴重な画像を数多く「焼失」しました。■実は、ここからがクライマックスだった。■エンジン本体の細密/高精度オーバーホール■トランスミッション、フライホイール、クラッチセットのリフレッシュリファイン■MLSオリジナルサスシステム「特製製作」勿論、各アーム、ブッシュ系も全てリフレッシュ■ブレーキシステムも加えて、再リフレッシュリファイン。■完成車両を軽快にドライヴする例のシーンもご覧頂きたかった。そう、忘れず美味しい「お土産」も紹介、そんなすべての画像データーは「溶けて」無くなった。実に残念である・・。
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