第一期工事
CR−Xと言っても、SiRやSiで無く1.5Xだ。詳しい方はご存知だろうが、エンジンはD15Bである。SOHCで吸気2バルブ/排気2バルブの構成でデュアルキャブ仕様だ。それが今回のリポート車、上の作業工房内のフォトでは左側の“ソレ”。これを聞いて「これは走らない・・?」だろうナっと閃いた諸氏。実はコレガ「中々イケル!」のだった。イヤ、もっと正確に言えば、本気で1台ガレージに収めたくなる。
「お気付き」の方もあると思うが、計画と実行ではリポート済みだ、再度、登場願ったのは『その先』がまだある。私達は365日ホンダ漬け、実作業に、確認走行、戻れば、改良/修正、試作もテストする。時間は幾らあっても間に合わない。そんなリズムで数十年「ホンダ趣味生活」愛好家達とワイ、ガヤ、楽しく過ごしてきた。アーモンドグリーンのCR−Xも今、実走確認から作業工房に戻ってきたばかりだ。
こんな深夜、何のTESTドライヴから帰って来たのだろうか。それより、左のリフト上にもCR−X、「試走から」ガレージに帰り着いたのもCR−X。まさかオーナーズクラブからの依頼に応じてなどと想像を巡らす諸氏。それは違う!、こう言う偶然は少なくないのだ、何故なら、当時から現役世代のCR−Xを「ズ〜ッと途切れなく」実例を積み重ね、その現場で昔も今も変わらずメンテナンスを続けて来たから。
愛好家達は“今更ながら”CR−Xの魅力にのめり込んでいる。当時、購入チャンスを逃した同胞達や縁あって、最近自宅のガレージに夢かなって収めた人達。経緯はそれぞれながら再度、巡りあった喜びと、今、改めて観察すれば、現代車では到底望む事が出来ない、軽量、コンパクト設計にもう一度重ねて『感心!』するのだ。つまり、もう簡単には『買えない』種類の“ソレ”である事にも気付く筈だ。
だが、そこで充分満足しているオーナー達も少なく無いようだ。つまり、どんなに丁寧に取り扱われ大事にされてきた車両であっても、もう、既にアレ、コレ、「言い訳」出来ない経年変化を迎えており、指差し確認!」を行なうまでも無く、劣化/消耗「度合い」も十二分に推測出来るコンディションだろう。
“隣のホンダ”と違うHondaに乗りたい、そんな愛好家なら誰もが思いを巡らす「希望」を実現するには新車をディーラーに注文する様な華やかさは存在せず、落ち着いた、地道な、手法に頼る事になる。なにより、その対象車両の状態を「観察/確認」する分析から徐々に始める。今までの例からもそうだ。
それは「ともかく」、エグゾーストシステムのフォトを並べているのは・・、っと、お考えの諸氏。繰り返しになって恐縮だが、このオーナー、前リポート(計画と実行)の中で解説したとうり、誰も知らない物が居ない筈の有名市販マフラーメーカーへ勤務する身分。勿論、愛社精神は人一倍だと自負するものの
イザ、愛用のホンダ車へ将来も考え合わせ「吸/排気システム」をどうするのかプランを練った結果は私達モーターライフの門を叩く事だった。市販品が悪い訳では無いが、自身の車両「個体差」を見極めその車両だけに『専用開発』するソレは完全パーソナルオーダーであり、他に比べ物は「無い」のだ。
何故なら、吸気側、排気側、共に「同時進行」で作業を進める事から、単独でスポーツマフラーをポン付けする手法とは根本的に異なり、私達が行なうオリジナル「吸/排気トータルリファインチューニング」が理論に叶ってる。デュアルキャブ仕様のこのCR−Xでは私達の「本領発揮!」のチャンスでもある。
彼の「判断!」は間違っていなかった様で、私達モーターライフがある市内中心のオフィスから試走に出たアーモンドグリーンのソレは上品で抑え目ながら、「胸のすく」快音をテニスコートに響かせ快走。第一期工事から予想以上の展開に彼の「夢」は計画性を深め“手ごたえある”「確信」へと変化する。
「事故?」に遇ったわけでは無い。フロント部を外し「弱点克服」の有効「補強!」を特別/設計した。手前が右フロントフェンダー内部、その向こうのエンジンルーム内には、デュアルタイプ(2本仕様)のフロントタワーバーが専用/設計で誤差ZERO/ZEROの非調整「直付け」手法で頑強に「仕込んだ」。
第一期工事での「吸/排気」改善と同時にオーナードライバーが目指したプランはコレ!。当時の弱点車体剛性の「効率良い対策」だった。市販パーツを適当にポン付けする事ではその車両個体差の持つ特有の問題点を克服出来ない事から、実走を重ねハンドメイドで「必要箇所」を洗い出し封じ込めた。
完全専用「設計」非調整式デュアルタイプ(2本仕様)フロントストラットタワーバー。誤差ZERO×2の特製品で他車への流用取り付けは難しい。結果、それだけこの車両に密着フィットしている証拠だ。左/右フェンダー内のポイント補強と相乗効果が得られ、類稀な素晴らしいハンドリングを「発揮する」。
車体「裏面」トータールバランスに配慮、完全専用「設計」非調整式アンダーブレイス特製/製作した。製作、組み込み作業では、重量増に配慮し「実走行」を重ねながら、必要箇所のみに重点補強を実施闇雲に市販「補強KIT]をポン付けする手法とは格別に異なる『ピンボケ?』にならない確実なプラン。
今に始まった事では無い、ずっとそう・・、何もかもオーナードライバーが「思い描く」イメージを現実のプランに変え、実行して来た。この場合もそう、世間の評価や手法はこのオーナーの「参考」ではない「非力」なパワーでも「軽量」ボディーを活かし、呼吸系、剛性、空力メリットをバランス良く「フル活用」。
このD15Bパワーユニットで丁度良い、勿論、負け惜しみなどでなく、SOHCデュアルキャブがベストだだから、将来も高スペックエンジンに載せ替えなど間違っても考えない。ドライバーズシートに身を収め小気味良いシフトで走り出せば「説明不要」だ。オーナーDr自身がステアリングを握り「駆け抜ける」。
第二期/第三期工事
つまり、第一期作業では「偶然の出会い」。お互い初対面で打ち解けながらも少なからず遠慮もあるだろう・・。しかし、そこでの作業結果はやがてオーナードライバーに伝わり、信頼に変わり「確信」になる。そんな事から「リピーター」が多いのもモーターライフの門を叩く「ホンダ人」達の特徴なのだ!。
第二期/第三期工事を合わせてリポート。主治医としてCR−Xのメンテナンスを進めていると些細なセッティングや実験目的で調整しろを変更する依頼など「目標確認」をする意味でMLS工房への出入りは繰り返された。その中でもポイントとなる作業にスポットをあてて覗いて見たい。入庫日が決まれ
ば「段取り」が良い、その為に、初めてホンダを持ち込むオーナーも、何時もの常連さんも全く区別無く簡単な事前「仮予約」をしてもらってる。それは工房内に長期間作業を行なっているホンダや予定日に狂い無く「正確に」持ち込まれたHONDAなど数多く混在しているスケジュールを「交通整理」する為だ
 
 フォトではもう既にフロントサスシステムが紹介されている。前回のメニューに加え、モーターライフシステムズ製のオリジナルシステムが組み込まれた。説明しておくと、この車両用に専用開発したと言うことである。つまり、試作を数SETテスト開発、クルマに実際組み込み、実走を繰り返しながら「仕上げてゆく」丁寧な手法だ。予め作り置きのソレを「ポン付け」したのとはわけが違う。
 
 そんなフロントサスペンション制作と「同時進行」で一筆書き的に実施しているのは上のフォトでも確認出来る制動力向上に大きく貢献するオリジナル「スリット入り」ディスクローター、非膨張タイプオリジナルブレーキライン、専用オリジナルパッドの「個別開発」だ。周辺作業を一度に集中出来、クルマにも優しく実に「効率的」である。
 
 「裏面」から見る。セットアップされたサスシステム、ローター、ホース、パッドと共に、一期作業で専用制作された非調整式アンダーブレイスも確認出来る。そして、その手前、輝くのはステンレス製フロントパイプだ。先でこれは違うアングルからも見て頂ける筈で「・・その時」説明出来れば。
 
 リア/左側から見る。MLS「リフレッシュリファイン」プランではその対象車両の個体差別にオリジナルダンパー制作やサスシステムだけの部分ではなく、交換「可能」なブッシュ、アーム、リンクなどを「トータル」で総合的に一新している。
 
 「惜しまれながら」生産を終了したホンダ達、一人ひとりが心に秘めるそれらの車種をモーターライフの工房に持ち込み「丹念に仕立て直す」。それは慌てても、騒いでも、そして誰でも実現出来る事ではないのかも知れない。そこには「真面目な熱意と意志」を持ったオーナーとの出会いが必要だ。
 
 それだけでは無い、気ぜわしく「新しいモノ」だけに飛びつく、「回りの情報」だけに流される、落ち着きのない視点だけで暮らしていては、個性を見極め「味わい深い」その頃のホンダ達を「今の日常に巧みに取り込み」さりげなく普段使いする。そんなスタイルやセンスは生まれにくいのだろう。
 
 当時の心に残るHONDA達をMLS工房で再生、復元、リフレッシュ。それは旧車ミーティングに持ち込み、自慢話?に花を咲かせる目的などではなく、あの頃の新車時では到底味わえない「現代技術」を持って、自分好みの「オリジナル仕上げ」を存分に満喫、堪能する事である。
 
 つまりはオーナードライバーの価値。最新、現行Newモデルを新車発注し「得意げに・・」乗り回すソレとは根本的に違い、「さりげなく・・」懐かしいホンダを毎日の『足に』元気に使いこなす様は、復元、再生、レストア、リフレッシュ、を知るモノ達には少なからず「驚嘆」に値する筈だ・・。
 
 完成したオリジナルサスシステムを眺めているだけではつまらない。少しだけそこまでの「工程」も見てみよう。更に、「同時進行」でエンジン本体にも「手が及んでいる」。ホラ、ご覧の様に、慎重で丁寧にそのパワーユニットは「降ろされている」。オーナードライバーにとっては、このシーンを改めて今見るだけでも、後々「心に刻まれる」筈だ、自身のホンダが今「生まれ変わる」のだ。
 
 オーナードライバーも私達も「意見は一致」、同じ考えだった。それは現在まで愛用を続けてきたソノ、パワーユニットを丁寧に「調律/調整」してリフレッシュリファイン。今後も大切に『永年愛用』する、だった・・。世間でよくある、排気量の大きいエンジンに載せ替えや、インジェクション仕様のDOHCや、I−VTECにチェンジしよう、などと、そんなプランは誰からも「冗談でも出なかった」。
 
 オーナードライバーが「神経を配り」、回しているエンジンでも、経年変化は少なくない。「大きな症状」が発生していないから「安心?」は随分違う!。それは営業車の話。所有する愛用HONDAはこれからも「付き合いが続く」のだから、普通に動けば「大丈夫?」は全く当てはまらないのだ。
 
 D15BSOHCエンジンのヘッドカバーでは「不満足?」だろうか・・。折角エンジンに「手が入る」のに、最新ハイパワーエンジンを載せたい気持ちは解らないでもないが、それが全てでは無い。「必要にして充分!」その言葉のとうり、シンプルで軽い、「余計な複雑機構」はここでは不要なのだ。
 
私達が言う 「エンジンチューニング」は『追加出力?を望む』では無い。正統派の道を真っ直ぐ歩めば答えは一つ。本来持てるチカラを「スムーズに導き出す」である。軽い車体にシングルカムのシンプルで軽いエンジン、これだ!。前の写真で仮組のステンレスエキマニが見えた筈だが、ここではまだ純正状態だった。ここから最終段階で「採用するまで」多くの試作が始まったのだ・・。
 
 「デュアルキャブ仕様」。前方排気、後方吸気なのでバルクヘッド側からのフォト。キャブが吸気系の「主役」だった頃から数多く現場経験を重ねたエンジニア達には珍しいソレでは無い。この機会にエンジンと共に細密に「リフレッシュリファイン」、自慢の最新インジェクションを大きく上回る「レスポンス」と「好燃費」を達成させ回りを驚かせる積りだ。チューブレイアウトの複雑さに注目。
 
描く手順より 「遠回り」になったり、必要以上に「時間がかかる」事もある。早く組み上げてオーナードライバーの元に返す日を急ぐのも大事だが、折角の「リフレッシュ」現場を活かし慎重、『丁寧に進めたい』。全工程のわずかほんの一部だけだが「リファイン作業」を写真で追ってみる・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「個人的趣味」を語らせてもらえば、上の様なフォトタイミングが好みだ!。ここは作業工房だが、例えば、自宅ガレージ奥で「秘蔵のホンダ」に時間を気にせず、マイペースで心置きなくリフレッシュプランを実行出来れば、他に代えがたい「充実の時」をおくれる・・。勿論、ココ、「仕事工房」でも込めた気持ちは全く同様だ。
 
 
 「リフレッシュリファイン」が入念に完了したエンジン。輝くほど美しいだけでなく、「神経質」に細部まで「オリジナル調整」済みで、ウルトラスムーズな他に無いフィールは勿論、「新車以上だ」。
 
 これがリフレッシュ前の「シリンダー」だ。1つ上↑のフォトと見比べて欲しい。安心?平和?に「只今、エンジン絶好調!」などと叫んでいるオーナードライバーの「見えざる」中身はこんな場合がほとんど・・。エンジンのHONDAなどとお考えなら是非、よく「注視」頂きたいショットだ。
 
 第一期工事でCVデュアルキャブ仕様「吸/排気トータルリファイン」チューニングのリポートを入れた。第二期/第三期工事では、エンジン本体へのオリジナルリフレッシュに合わせ、排気系の更なる「リファイン」としてオリジナル製作の専用エグゾーストマニフォールドを「特別製作」する。
 
 車両個体差に合わせ「オリジナル」製作する理由は簡単。まず、1台分だけ製作すると言う手法ではなく、この対象車両だけに「専用開発」する、だから同種のエンジンへも「転用」は効かない。この車両に搭載し、このエンジン専用だからだ。高効率!で力強いTEST用が「仮組」された。
 
 賢明なる閲覧者の方には釈迦(しゃか)に説法のようなものだろうが、念の為言えば、そも、そも、エンジンはD15B/SOHCシングルカム/デュアルキャブ仕様だ、それに「ツルシ」のEXマニは市販されていない事から、「専用制作」に踏み出した?、・・っと、『勘違い』されては困るのだ。
 
 例え、市販EXマニが多数存在する場合でも、私達、モーターライフの門を叩く「熱心なホンダフリーク」達は、個体差に合った自分だけのHONDA用エグゾーストマニフォールドをリクエストする。
 
 その「HONDAだけにマッチ」するテーラーメイド仕上げは今更説明の必要も無いが、その車両だけ「専用」に試作、開発、改良、本採用品へ向け、地道に「クルマに具合を聞きながら」3歩進んで2歩下がる様な、「熱意と根気」が要求される工程だ。完成品は1つだが、その陰には無数の「テスト仕様」が潜む!。だから、今日3歩進めても明日、5歩下がる事も普通に有るのだ。
 
 「リフレッシュリファイン」を上手く「実行/実現」するには幾つかのポイントがある!。それはプラン実行は私達だけの「独り舞台?」ではないと言う事だ。つまり、作業を直接しないオーナードライバーも共に『息を合わせ』、『足並みを揃え』、常に『共同参加』しているのと同じなのだ。だから、ホンダオーナー誰もがオーダーを出せば、その「計画が実行」出来る訳では無いのである。
 
 毎回、「過去実例」を振り返り、効率よい作業/進行を目指すが、現場はその「計算どうり?」行く試しは無い。結果、必要以上の時間が必要となったり、目的に辿り着くまで「根気良く」、「繰り返し」同じ工程を手探りで進む場合も、そのオーナードラーバー達にも「二人三脚」が求められる。
 
 それは「ともかく・・」、手作りの特製エグゾーストマニフォールドが組みあがった。1つ上のフォトと比べれば解るが、エンジン下部フロントパイプへ繋がる箇所も力強く「丁寧に」完成している。デュアルキャブ、シングルカム仕様からはイメージを超える『力強さ!』だ。半地下にウッディー造りの書斎でもあれば、このまま組み上げないで、贅沢にオブジェとして設置して置きたいモノだ。
 
 「下手な!・・」ハイブリッド車など足元にも及ばない。そう、断言出来るほど「優秀な燃費性能」である。考えるまでもなく、軽量ボディーに空力フォルムを味方に徹底的に『調律』されたエンジンを5速マニュアルミッションで適切にシフトすれば本来の「ライトウエイトスポーツ」の真価発揮だ。
 
 「故に・・」、5速マニュアルトランスミッションを細密に「フルオーバーホール」。そう、『必要にして充分』なエンジン出力を、効率良く「変速伝達」する事で、エコロジーでスポーツ感溢れる走りが実現出来る。つまり、この俊敏なライトウエイト「フイール」は他の乗り物では「比べようも」無い!。
 
 「ロスの無い」、スムーズな「シフト」にフライホイールの役割は無視!出来ない。だからと言って、街のチューニング屋さんの様に、無暗に「軽いだけの」軽量フライホイールは間違っても選ばない、私達が最も重要視するのは何より『バランス』だ。そんな使い勝手「抜群」の一品を作った。
 ■火災被害の影響でこの先紹介する予定の貴重な画像を数多く「焼失」しました。■美しく「真っ赤」にペイントされたシングルカムのシリンダーヘッドカヴァーや・・■ブッシュ、アーム、リンク、を含むサスシステムをMLS仕様の「特製制作」する興味深いプロセスをご覧頂けない事は「残念」であり、私達だけでなく、多くのホンダファン達の貴重な資料の「損失」です。
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